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インフルエンザワクチン豆知識

 今年も、インフルエンザの季節になってきました。
今年は皆様ご存じのように、新型コロナウイルスが5月8日以降「5類」に移行しましたが、現在も感染拡大が続いており、その流行の終息の兆しは見えておりません。新型コロナウイルスが5類に分類されてマスク着用が個人裁量となり、インバウンドも急増して、インフルエンザ流行の要素が増えて、すでに流行の兆しもでております。冬季のインフルエンザの流行が始まり、インフルエンザに罹患した場合、初期の段階では新型コロナウイルス感染との鑑別が非常に難しくなります。よって、今年は例年以上にインフルエンザにかからないように細心の注意が必要だと思います。そのためには、やはり予防効果が実証されているインフルエンザワクチンを接種することが大切だと思います。
きたるインフルエンザの流行に備えて、当クリニックも10月1日よりインフルエンザワクチンの予防接種を実施しております。そのためインフルエンザワクチンの正しい知識を知って頂こうと思い、皆さんが知っていそうで、よく知らないインフルエンザワクチンのお話をしようと思います。

 インフルエンザは、わが国では通常初冬から春先にかけて毎年流行し、殆どが自然治癒しますが、肺炎や脳症等を合併して、重症化すると生命に危険が及ぶ事もある怖い病気です。
ですから、ワクチンの正しい知識を持って、この冬のインフルエンザの流行に備えましょう。

1)インフルエンザワクチンを接種すると、インフルエンザを予防できる?
 インフルエンザワクチンは、インフルエンザウイルスの感染やインフルエンザの発症そのものを完全に防御できませんが、重症化や発生の予防効果は証明されており、重症化予防を主目的とするワクチンと思って下さい。
 実際に、高齢者にワクチンを接種すると、接種しなかった場合に比べて、インフルエンザによる死亡を1/5に、入院を1/3~1/2にまで減らすことが期待できると報告されています。先に述べたように、インフルエンザは脳炎や肺炎などを合併して重症化すると、生命に危険がおよぶ怖い疾患ですので、重症化を予防する意味で、是非ワクチン接種は行ってください。
2)ワクチンはいつ頃接種すると効果的なのでしょうか?
 インフルエンザワクチンは接種後1~2週で抗体が上昇し始め、1~2か月後にピークに達し、3~4か月後には徐々に低下傾向を示します。したがって、ワクチンの予防効果が期待できるのは摂取後2週から5か月程度と考えられています。
 従来の季節性インフルエンザの国内流行期は通常12月末から翌年の3月頃までですので、上記のワクチンの効果期間を考えると、少なくとも12月中旬までには摂取を終了させておくべきでしょう。2回接種の場合、10月と11月に1回ずつ、あるいは11月の初めと終わりに1回ずつ計2回の接種を受けておくことが望ましいです。1回接種の場合も2回接種の場合も、遅くとも12月中旬までには接種を完了しておくと良いでしょう。
3)接種回数は?
 2回:生後6か月以上~13歳未満
 1回:13歳以上
4)2回接種を行う場合の接種間隔は?
より高い免疫効果を考えると、3~4週おくことが望ましいとされています(4週が望ましい)。H23/24年シーズンのワクチンから、生後6か月以上~13歳未満の小児に対する接種間隔も2~4週に変更になりました。
5)摂取量は?
 13歳以上は、0.5mlを1回
 3歳から13歳未満では、1回0.5mlを2回
 生後6か月以上~3歳未満では、1回0.25mlを2回
6)ワクチン接種後にインフルエンザ様の症状がでた?
 インフルエンザワクチンは不活化ワクチンで病原性をなくしているため、ワクチンが原因でインフルエンザになることはありません。
但し、インフルエンザウイルス以外のウイルスには当然ながら効果がありませんので、通常の「かぜ」はひくことがあります。
7)ワクチンは毎年連続して接種しなければだめ?
 先に述べたように、インフルエンザワクチン接種による発症防効果は、接種後2週間から5か月程度のため、翌年にはワクチン接種は必要です
8)卵アレルギーの子どもにインフルエンザワクチンを接種してもいいの?
  インフルエンザワクチンは発育鶏卵で増殖したインフルエンザワクチンウイルスを原材料として製造されています。近年は高度に精製されていますが、ごく微量の鶏卵由来成分が残っていて、これにアレルギー症状がまれに起こることがあります。
したがって、卵アレルギーの人は接種要注意者に該当します。
よって、インフルエンザに罹った場合のリスクと卵アレルギーによる副反応とのバランスを考え、主治医とよく相談のうえ接種するか否かを決めてもらって下さい。

<インフルエンザワクチン接種料金に対するお知らせ>

当クリニックのインフルエンザワクチン接種料金は、この新型コロナ禍に、ガソリン代・電気代等の諸経費高騰の中で、一人でも多くの方に接種して頂けるように、例年と同じく以下の通りとさせて頂きます。

13歳以上:2800円
13歳未満(2回接種:原則3歳からとさせて頂きます):1回目2800円 2回目2200円
札幌市にお住いの65歳以上(接種日現在)の方:1400円


インフルエンザワクチンは必ずしもインフルエンザ感染を完璧に予防することはできませんが、肺炎や脳炎を併発して重症化することを予防することはできます。
皆さん、インフルエンザワクチンの正しい知識を持ってワクチン接種を行い、今年の新型コロナウイルス流行期のインフルエンザの流行に万全に備えて下さいね。
もちろん、ソーシャルデスタンスを心がけて、マスクの着用・手洗い・うがい等の従来通りの感染予防策の徹底は行ってくださいね。


<参考文献>
2019(令和2年)予防接種に関するQ&A集  日本ワクチン産業協会

2023年9月15日