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2022-2023年のインフルエンザの動向について

 日本感染症学会および日本ワクチン学会の見解では、2022-2023年シーズンはインフルエンザ流行の可能性が大きいと予測しています。
その根拠は以下の通りです。

  1. 1) 日本の冬季のインフルエンザ流行を予測する上で、南半球(オーストラリア)の状況が参考になります。そのオーストラリアで、2022年4月後半から、インフルエンザ患者が例年を超えるレベルで増加して、医療の逼迫が問題になりました。
    今後、海外からの入国が緩和されて人的交流が増加することで、国内へウイルスが持ち込まれると考えられ、我が国でも、今秋から冬には、同様の流行が起こる可能性がある
    そうです。
  2. 2) 日本でも過去2年間、国内での流行がなかったため、社会全体のインフルエンザに対する集団免疫が低下していると考えられており、一旦感染が起こると、特に小児を中心に社会全体として大きな流行となる恐れがあります。

    今年6月22日、東京都内の小学校において、2年3ヶ月ぶりにインフルエンザによる学級閉鎖が発表されています。冬季のシーズンに入る前に、このような季節外れの流行が起こる可能性もあります。
    また、9月17日の北海道新聞でも、札幌市で9月16日、市在住の10歳の子供が、季節性のインフルエンザに感染して、3季ぶりにA型香港型インフルエンザウイルスが検出したとの記事がでており、札幌市はインフルエンザウイルスがコロナ禍前のように流行する前兆とみて、警戒を呼びかけ、市保健所としてもワクチン接種を推奨している内容記事が載っていました。
  3. 3) A香港型の流行が予想される
    2021-2022年には、欧米では主としてA香港型ウイルスの流行がみられています。
    中国でも今年になってA香港型が増加しているそうです。また、オーストラリアで本年度に検出されたインフルエンザウイルスの型が判明したもののうち、約80%がA香港型でした。そのため、日本でも今シーズンはA香港型の流行が主体となる可能性があります。A香港型が流行すると、インフルエンザによる死亡や入院が増加する事が知られており、特に警戒が必要です。
  4. 4) 今季もインルエンザワクチン接種を推奨します
    インフルエンザワクチンには、4種類(A型2種類、B型2種類)のウイルス型が含まれており、A香港型もそのうちの一つです。一般にワクチンは、発症予防効果と重症化防止効果が期待できます。欧州からの報告では、65歳以上の高齢者において、ワクチンを接種した場合は、接種しなかった場合に比べて、A香港型感染による入院を抑制したとされています。
    日本では、依然COVID-19の感染拡大が続いています。そのような中で、ワクチンで予防できる疾患については出来るだけ接種を行い、医療機関への(特に発熱外来)への受診を可能な限り抑制することが重要と思われます。

    以上より、日本感染症学会では、今年も例年通りに、小児・妊婦も含めて、接種できない特別な理由のある方を除いて、出来るだけ多くの方に、インフルエンザワクチンの積極的な接種を推奨しています。
  5. 5) ワクチン接種の是非必要な人
    ① 65歳以上の高齢者 ②5歳未満のお子さん 年齢に関係なく③心臓や肺などに慢性の基礎疾患や、悪性腫瘍で治療中の方、高度肥満の方、などです。④またこれらの方と一緒に生活されている方や、⑤学校や職場で人との接触の多い方も積極的に受けることをお勧めします。

    特に65歳以上の高齢の方、インフルエンザから肺炎を起こすリスクが高く、是非ワクチンを積極的にうけて下さい。また小さなお子さんは、インフルエンザが流行すると、多くの子供が高熱を出して救急外来を受診します。中には気管支炎・肺炎・熱性けいれんなどで入院することもあり、まれにインフルエンザ脳症を起こすこともあります。最近2年間、インフルエンザが流行しなかったため、特に小さなお子さんは免疫が低下していると思われ、ワクチン接種がとても重要となります。
  6. 6) 例年通りのインフルエンザ対策が必要です
    COVID-19の流行の収束が見えない現在では、もしインフルエンザに感染して発熱した場合、コロナ感染とインフルエンザ感染との鑑別が難しく、発熱外来での対応にも限界があります。
    したがってインフルエンザに対しては、従来通り、手洗い・マスク・咳エチケットを普段から心がけ、可能な限り人混みを避けることが、コロナ感染予防と併せて重要だと思います。

<参考資料>

  1. 1. 日本感染症学会 提言2022-2023年シーズンのインフルエンザ対策について
    (一般の方々へ)
  2. 2. 2022-23年シーズンの季節性インフルエンザワクチンの接種に関する
    日本ワクチン学会の見解